論文・学位論文のAI翻訳:得意なことと注意すべき点

機械翻訳は、読めない言語で発表された研究を読むのに非常に役立ちます。また、自分の論文や学位論文を翻訳する際のたたき台としても十分に役立ちます。最も注意が必要なのは専門用語です。翻訳した原稿を提出する前に、翻訳やAIツールに関する所属機関や学術誌の方針を確認してください。 引用情報、人名、データ、数式は変更されないようにし、論旨が意図どおりに伝わっているかは、その分野に詳しい人に確認してもらってください。

このガイドでは、他の人の研究を読む場合と、自分の論文を翻訳する場合の両方を取り上げます。

他の言語の研究を読む

英語以外の言語で発表されている研究はたくさんあります。学位論文、地域の学術誌、学会発表論文の多くは、翻訳されることがありません。機械翻訳を使えば、数分で読める状態になります。

読むことが目的なら、基準は「この論文が自分にとって重要かどうかを判断できる程度に、手法と結果を理解できるか」です。質の高い機械翻訳なら、たいていこの基準を満たします。うまく活用するためのポイントは次のとおりです。

  • コピーした段落ではなく、PDF全体を翻訳してください。 2段組みの論文からテキストをコピーすると、段同士が混ざったり、文が途中で切れたりすることがよくあります。DropTranslateの論文翻訳ツールのようにレイアウトに対応した翻訳ツールなら、ページ構成が保たれるため、図、表、キャプションも、それらを説明する本文の近くに配置されたままになります。
  • 原文を開いたままにしてください。 何かを引用する前に、数値、単位、主要な主張の正確な表現を原文で確認してください。
  • 翻訳ではなく、原文を引用してください。 参考文献リストには、発表された原論文を記載してください。本文を引用する場合は、自分で訳した引用文であることをどう示すか、スタイルガイドで確認してください。
  • 意味を取り違えやすい専門用語に注意してください。 見慣れた用語でも、その分野や言語では、意味がより限定されていたり、異なる意味で使われていたりすることがあります。

PDFが古い刊行物をスキャンしたものなら、まず光学文字認識(OCR)でテキストを読み取る必要があります。お使いのPDFがどの種類か確認するには、PDFをレイアウトを崩さずに翻訳する方法をご覧ください。

自分の論文や学位論文を翻訳する

自分の名前で提出する成果物なので、より慎重に進める必要があります。

まず方針を確認する

提出する原稿に翻訳ツールやAIツールを使う前に、次の点を確認してください。

  • 大学のルール。 AIツールや、学位論文を書く言語について規則を定めている大学は多くあります。翻訳ツールの利用を自由に認めているところもあれば、利用の申告を求めるところ、評価対象の課題での使用を認めていないところもあります。
  • 学術誌や出版社の方針。 AIを利用した執筆と、その利用の開示について方針を定める出版社が増えています。投稿を考えている学術誌の投稿規定を読んでください。
  • 指導教員。 迷ったら聞いてみましょう。費用はかかりませんし、後のトラブルを防げます。

開示が求められる場合は、何をどのように使ったかを書きます(例:「最初の下書きに機械翻訳を使用し、著者が修正した」)。

PDFではなく元のファイルを翻訳する

Wordで書いた場合は、DOCXを翻訳してください。見出し、脚注、キャプション、表、スタイルが保たれ、後から簡単に編集できます。詳しくは、ガイドWord文書を翻訳する方法をご覧ください。読むだけならPDFでも構いませんが、自分の元ファイルを使うほうが、より整った編集可能な翻訳になります。

LaTeXで書いている場合、Word、PDF、プレーンテキストを想定した文書翻訳ツールは、LaTeXのコマンドを理解できません。本文のセクションか、参照用のDOCXまたはPDFにエクスポートしたものを翻訳し、確認したテキストを元のソースに戻してください。

守るべきもの

次の項目は、翻訳後も変わらないはずのものです。すべて確認してください。

  • 引用と参考文献リスト。 著者名、引用した文献のタイトル、学術誌名、年、DOIは、発表されたとおりに残します。
  • 数式、公式、変数名。
  • 表のデータ、単位、統計の表記(p値、信頼区間)。
  • コード、遺伝子名、化学物質名、そのほか表記が決まっているもの。
  • 機器、尺度、データセットの名称のうち、翻訳先の言語で定訳があるもの。

専門用語:短い用語集を作る

専門用語は、機械翻訳で最も注意が必要な部分です。翻訳する前に、次の作業を行いましょう。

  1. 論文の重要な用語を20〜50語リストアップする。
  2. それぞれの用語が、翻訳先の言語の先行文献でどのように訳されているかを調べる(辞書ではなく、質の高い学術誌に掲載された最近の論文を参照します)。
  3. 翻訳後、文書内で各用語を検索し、表記を統一する。

この作業だけでも、翻訳した論文の質は、ほかのどの作業より大きく向上します。

見直し:誰が読むべきか

  • あなた自身が意味を確認します。 すべての段落が、意図した内容をそのまま伝えているか確認してください。
  • 翻訳先の言語で執筆する同分野の同僚に、専門用語と文体を確認してもらいます。
  • 影響力の大きい学術誌に投稿する場合や、学位論文の評価項目に文章の質も含まれる場合は、プロの学術編集者または翻訳者に依頼します。

ガイド機械翻訳は十分な品質ですか?には、重要な段落を元の言語に訳し戻すといった簡単なチェック方法を載せています。

未発表の研究とプライバシー

未発表の論文や学位論文には、まだ公開していない結果が含まれています。オンラインツールにアップロードする前に、そのツールがファイルをどのくらいの期間保持するか、アップロードしたテキストがAIモデルの学習に使われる可能性があるかを確認してください。DropTranslateは処理が完了するとアップロードされたファイルを削除します。ただし、無料プランでは、利用するAIモデルの提供元が送信されたテキストを学習に使う場合があります。そのため、未発表の結果をアップロードするかどうかは、慎重に検討してください。詳しくは、オンライン翻訳ツールにドキュメントをアップロードしても安全ですか?をご覧ください。

よくある質問

機械翻訳した学位論文を提出してもよいですか?

所属機関のルールで認められている場合に限ります。また、通常は入念に推敲した後でなければ提出できません。まずルールを確認し、指導教員に相談してください。

翻訳で引用が変わることはありますか?

変わらないはずですが、確認してください。引用した文献のタイトルは、スタイルガイドで括弧書きの訳題を添えるよう指示されていない限り、発表された言語のままにします。

他の人の論文を翻訳して公開すると盗用になりますか?

許可を得ず、出典も明示せずに他人の著作物の翻訳を公開すると、著作権や盗用の問題が生じます。読んだり引用したりするために翻訳するのは通常のことですが、翻訳を再公開するのは別問題です。

翻訳した論文に証明付き翻訳は必要ですか?

研究を読む場合や学術誌へ投稿する場合には必要ありません。証明付き翻訳が必要になるのは、卒業証書などの公的書類について、機関が翻訳の提出を求める場合です。成績証明書と卒業証書の翻訳をご覧ください。

まとめ

他の言語の研究を読むときは、引用のために原文を手元に置いたうえで、機械翻訳を積極的に使いましょう。自分の論文や学位論文では、まず方針を確認し、元のファイルを翻訳し、引用とデータを守り、用語リストを作って、その分野の人に見直してもらいます。

DropTranslateに論文をアップロードすると、図や表をそのままの位置に保ったまま、自分の言語で読めます。

AIで研究論文や学位論文を翻訳する方法を解説。外国語の研究を読む場合と自分の論文を訳す場合の専門用語、引用、大学・学術誌の方針を紹介します。