ユーザーマニュアル・技術文書の翻訳方法
ユーザーマニュアルを適切に翻訳するには、編集可能な原稿ファイル(Word、または文書作成ツールから書き出した形式)を使い、あらかじめ用語を統一したうえで、対象言語を理解できる有資格者にすべての安全警告を確認してもらいます。 マニュアルは同じ表現の繰り返しが多く、字義どおりに理解できる文章で書かれているため、機械翻訳で技術文書の大部分を素早く処理できます。リスクがあるのは、警告、仕様、操作部の名称といった限られた箇所です。これらは製品と正確に一致していなければなりません。
製品を他の国で販売する場合は、その市場における取扱説明書や安全情報の言語に関するルールも確認してください。たとえばEUでは、消費者が容易に理解できる言語で提供しなければなりません。
これは一般的な情報であり、コンプライアンスに関する助言ではありません。製品に関するルールは製品の種類や市場によって異なります。お使いの製品に適用されるルールをご確認ください。
マニュアルが翻訳に向いている理由と、向いていない部分
技術文書は、簡潔で文字どおりに理解でき、同じ表現が繰り返し使われます(「電源ボタンを押します。ランプが緑色に点灯します。」)。このような文章は機械翻訳に向いています。慣用句が少なく、同じ文が何度も出てくるため、一貫した翻訳結果を得やすくなります。
弱点は次のとおりです。
- 用語。 「ふた」「カバー」「ハッチ」は、それぞれ別の部品を指している場合があります。翻訳でこれらが混同されると、読み手は違う部分を開けてしまいます。
- インターフェースのラベル。 手順には「Settings > Networkを選択します」と書かれていても、機器やソフトウェアには、その製品で使用されている翻訳済みラベルが表示されます。マニュアルでは、その場で新たに訳した表現ではなく、画面上や製品上のラベルに合わせる必要があります。
- 安全警告。 表現が弱められたり曖昧になったりした警告(「~しなければならない」が「~する場合がある」になるなど)は、文体ではなく安全に関わる問題です。
- 単位と仕様。 電圧、トルク、温度、寸法は正確に保ち、単位も対象市場で一般的に使われるものにする必要があります。
ステップ1:原稿を準備する
- 編集可能な原稿を使います。 原稿がある場合は、PDFではなく編集可能なファイルを使ってください。Wordファイルなら、見出し、番号付きの手順、表、画像を保ったまま翻訳できます。詳しくはWord文書の翻訳方法をご覧ください。PDFは、閲覧用の文書や編集できない文書に適しています。詳しくは書式を崩さずにPDFを翻訳する方法をご覧ください。
- 先に原稿を直します。 原文に曖昧な文があると、どの言語でも曖昧になります。短い文、1ステップにつき1つの指示、一貫した用語を心がけると、翻訳の品質が上がります。
- 可能なら画像内のテキストを外に出します。 イラストやスクリーンショット内のラベルは、本文と一緒には翻訳されません。代わりに図中の各箇所に番号を付け、本文に対応する説明を記載します。
- レイアウトに余裕を持たせます。 英語より多くのスペースを必要とする言語は少なくありません。表のセルが狭かったり、ボックスのサイズが固定されていたりすると、文字があふれます。
ステップ2:用語リストを作る
翻訳する前に、常に同じ訳にする(またはまったく翻訳しない)用語をリストアップします。
- 製品名とモデル名(通常は翻訳しません)
- 部品名、操作部、ボタン、コネクタの名称
- インターフェースのラベル(ローカライズされたソフトウェアや製品に表示されるとおりのもの)
- 警告語や定型表現(「危険」「警告」「注意」「注記」)と、自社での訳し方
翻訳後は、翻訳結果から各用語を検索し、表記ゆれがあれば修正します。マニュアルを定期的に翻訳する場合は、このリストを保管して再利用してください。複数のマニュアルで表記を統一することで、ドキュメントとしての完成度が高まります。
ステップ3:翻訳する
同じ形式でファイルを返してくれるドキュメント翻訳ツールに、原稿ファイルをアップロードします。DropTranslateのマニュアル翻訳は、Word、PowerPoint、Excelファイルの構造をそのまま保ちます。PDFの場合は、レイアウトをできるだけ忠実に再構築し、編集可能なDOCXも出力します。コピー&ペーストしたテキストを組み直す必要はなく、すぐに確認・編集できるファイルが手に入ります。
ステップ4:最も重要な部分を確認する
すべての文に同じレベルの確認が必要なわけではありません。優先順位は次のとおりです。
- 安全警告と危険に関する記述。 対象言語を理解でき、製品についても知識のある有資格者に確認してもらってください。この確認なしに、機械翻訳された安全情報を公開してはいけません。
- 仕様と数値。 すべての値と単位を原文と照合します。単位の換算は市場で必要な場合に限って行い、換算結果を再確認してください。
- インターフェースのラベル。 ローカライズ済みの製品やソフトウェアと照らし合わせます。
- 手順の順序と番号。 手順が統合されたり、抜けたり、分割されたりしていないか確認します。
- それ以外の部分。 その言語で製品を使う人に通読してもらいます。長くて繰り返しの多い文書では、全ページを読むのではなく、抜き取りで確認します。
ステップ5:対象市場のルールを確認する
多くの市場には、製品に付属する取扱説明書や安全情報の言語に関するルールがあります。公的な例として、欧州連合のYour Europeポータルでは、EU市場に製品を投入する製造業者は、消費者やその他のエンドユーザーが容易に理解できる言語で取扱説明書と安全情報を提供しなければならないと説明されています。また輸入業者は、製品が輸入されるEU加盟国のルールに従って、そのような言語の取扱説明書と安全情報が製品に付属していることを確認しなければならないとされています。流通業者も、ラベル表示、取扱説明書、その他の付属文書に関する言語要件を把握しておく必要があります。
「容易に理解できる」が実際に何を意味するか、また特定の言語が必須かどうかは、国や製品の種類によって異なります。たとえば、機械、電気機器、玩具、医療機器、化学品には、製品ごとの追加ルールがある場合があります。対象となる製品と市場の要件を確認するか、コンプライアンスの専門家にご相談ください。
ソフトウェアのドキュメントとヘルプセンター
オンラインヘルプ、ナレッジベース、開発者向けドキュメントにも同じ原則が当てはまります。加えて、次の2点があります。
- コード、コマンド、ファイル名、API名、設定キーは翻訳しないでください。 そのままにして、翻訳後に確認します。
- お使いのツールで再インポートできる構造化形式で書き出します(Markdown、HTML、またはヘルプセンターのプラットフォームが対応する形式)。このようなプレーンテキスト形式は、翻訳時にも構造を保ちやすいという利点があります。
よくある質問
機械翻訳したユーザーマニュアルを公開してもよいですか?
リスクの低いコンテンツでは、確認を経た機械翻訳がよく使われます。安全情報、規制対象の製品、誤解が害につながりうる内容については、有資格者に翻訳を確認してもらい、対象市場のルールも確認してください。
マニュアルに証明付き翻訳は必要ですか?
通常は不要です。マニュアルは、その意味での公的な文書ではありません。重要なのは、内容が正確で、対象市場の製品ルールを満たしていることです。
多数のマニュアルで翻訳の一貫性を保つには?
毎回同じ用語リストを使い、標準的な警告や定型表現は承認済みの訳を再利用します。更新部分は、ゼロから始めるのではなく、最新の承認済み版から翻訳してください。
イラスト内のテキストはどうなりますか?
画像内のテキストは、文書本文と一緒には翻訳されません。番号付きのコールアウトと本文中の凡例を使うか、イラストごとにローカライズ版を作成してください。
まとめ
編集可能な原稿を翻訳し、先に用語を固め、警告、仕様、インターフェースのラベルを丁寧に確認してください。販売する市場ごとに、言語に関するルールも確認しましょう。製品に付属するスライド資料については、PowerPointプレゼンテーションの翻訳方法をご覧ください。
マニュアルをDropTranslateにドラッグ&ドロップすれば、元と同じ形式で受け取り、すぐに内容を確認できます。